★月刊・沈黙の兵器 第00042号 '08/08/30 ★

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つい先日の2008年8月16日午前、不耕起自然農法の開祖、福岡正信氏が96歳で永眠されました。
 彼の無の哲学に大いに影響された筆者にとって、感慨深いです。
 彼は海外での知名度が高く、東南アジア諸国では彼の方式で荒野がバナナ畑や森として甦りました。
 インドではガンジーと呼ばれ最高栄誉賞を、ギリシャではソクラテスに例えられ、フィリピンではアジアのノーベル賞といわれるマグサイサイ賞を受賞されました。
 彼の死を悼んで、心よりご冥福をお祈りします。


■■■ 真説・歴史観(6) 列強侵略の本質 ■■■


欧米列強侵略の歴史の本質は、結論から言えば「旧約聖書」にある。
 そのことは本メルマガ第13号14号15号16号、そして前号を読まれた読者なら、予想されたに違いない。
 今回は、それをもう少し具体的に取り上げます。

歴史という言葉の英語は、「History」つまり、「His + story」です。
 ここで「His」とは、旧約の神エホバを指す。
 歴史とは、西欧人の発想では、まさに「神の物語」なのだ。

なお本稿では、個別に引用を明示しないが、次の書籍その他を参考にしている。
 ぜひ一読されることをお奨めします:

侵略の世界史 … この500年、白人は世界で何をしてきたか (祥伝社黄金文庫) 清水馨八郎(著)
真実の中国4000年史 … 侵略と殺戮 (祥伝社黄金文庫) 杉山徹宗(著)
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★★ 侵略の実態 ★★

西洋人の侵略の実態を、まず典型的なインカ帝国への侵略でみてみよう。
 1531年、スペインのピサロ率いる、僅か180人の軍隊がインカ帝国に侵入した。
 インカ皇帝のアタワルパはピサロの進軍を知っていたが、途中で攻撃するような卑怯はしなかった。
 ピサロは町の広場を占拠すると、アタワルパに使者を送って、広場に来るよう招待した。
 皇帝は同意し、彼とその従者たちは丸腰でゆくと宣言し、ピサロを安心させた。
 皇帝が数千人の家臣を従え広場に入ると、ピサロの従軍神父は皇帝にキリスト教への改宗を求めた。
 皇帝がそれを退けると、神父は怒ってピサロに駆け寄り、彼らを攻撃するよう強く促した。
 またピサロと兵士たちに、これからの流血の事態は、神の名において免ぜられる、と告げた。
 ピサロの騎乗兵たちは非武装のインカ人たちに襲いかかり、殆んどをあっという間に殺害した。
 皇帝アタワルパは人質にされてしまった。
 皇帝は、もし釈放してくれたら部屋一杯の黄金を差し上げる、と申し出た。
 その量は、ヨーロッパの半世紀分の生産量に相当するものだった。
 部屋が黄金で一杯になった途端、ピサロは約束を破って、皇帝をロープで絞め殺した。
 その後インカ人たちは強制労働と貢物を強要され、大量殺戮と恐怖政治が続けられた。
 若い女たちは、日常的になぐさみものとされたことは言うまでもない。
 また持ち込まれた伝染病によっても、多くの人々が死んだ。

西洋人の名誉のために、この残虐非道を内部告発した人々もいたことを述べたい。
 例えば、スペイン人のラス・カサスで、その頃の「従軍神父」であった。
 彼はキューバに広大な「占領地」を与えられたが、突然改心して帰国した。
 そして国王に、有名な報告書を送った:
  『インディアスの破壊についての簡潔な報告』(岩波文庫)
 だが彼は、身内のはずの教会や、政治家、商人たちから、激しい弾圧を受けた。


★★ 中南米の人口激減 ★★

こうして中南米の原住民は、人口が激減してしまった。
 その後のヨーロッパ人による多くの研究によれば、

 コロンブス到着(1492年)  : 最小推計 4,000万人 〜 最大推計 1億1,000万人
 インカ帝国滅亡(1570年)  : 約1,000万人

なんとたった80年間で、3,000万人から1億人が死んだのだ!
 もっとも中国でも、王朝が変わるたびに、千万人単位で人口が激減している。
 しかし中国では、ほぼ対等の軍事力の戦争により、庶民も巻き添えになって死んだ。
 無抵抗の人々に、ここまで殺戮や略奪を行なえる心理状態は何からくるのか?


★★ 侵略・殺戮・略奪を奨励する神 ★★

重要なヒントが、先ほどの従軍神父の言葉にある。
  「これからの流血の事態は、神の名において免ぜられる
 流血を、神様が望んでいるのか?
 日本人はほとんど知らないが、旧約聖書には次のようにある:

 『あなたの神、主があなたに渡される国民を滅ぼしつくし、彼らを見てあわれんではならない。』(申命記・7章16節)
 『そしてあなたの神、主がそれをあなたの手にわたされる時、つるぎをもってそのうちの男をみな撃ち殺さなければならない。
 
ただし女、子供、家畜およびすべて町のうちにあるもの、すなわちぶんどり物は皆、戦利品として取ることができる。また敵からぶんどった物はあなたの神、主エホバが賜わったものだから、あなたはそれを用いることができる。』(同・20章・13節)


これでは、神の名のもとに、侵略・略奪・強姦のし放題ではないか。
 しかも略奪品は神からのプレゼントだというのである。

ここでキリスト教の名誉のために弁明しておくと、イエスの教え(新約聖書)は素晴らしい。
 ちゃんと普遍の人類愛を説いている。
 (参照: 本メルマガ16号 … 新約と旧約(2) 「イエスは旧約を批判した」


★★ 最近までの実態 ★★

虐殺・略奪しても、神の名のもとなら許される…
 だからこそ中南米に限らず、北米でもインディアンを、オーストラリアでもアボリジニを、ほぼ皆殺しにできたのだ。
 先述したように、中南米では原住民の人口が激減した。
 実はさすがに、この事態で白人たちに困った問題が生じた。
 彼らの最大目的である金などの鉱山、また食べるための農園での労働力不足である。
 その解決策がスゴイ。
 アフリカから黒人を強制拉致して中南米に連行し、強制労働させたのだ。
 特にブラジルやキューバで、黒人系の人々が多いのはそのためである。
 北米や英仏でも、黒人が奴隷として使役されたことは、勿論ご存知でしょう。

その後、インドでは内戦を誘導して植民地化し、東南アジアも同様となった。
 中国も半植民地化され、世界は日本とタイ以外はすべて欧米列強の植民地とされたのだ。

戦後多くの国が独立したが、1970年頃までの南米では、インディオ狩りがあった。
 上空のヘリコプターから、遊び目的で原住民を狙撃する狩りゲームである。
 あ、ゲームといってもリアル世界での話しですよ、念のため。

筆者は幼少の頃、岩国米軍基地の近くに住んでいた。
 基地で働く日本人も当然いて、筆者は大人たち同士の次のような会話が強く印象に残っている。
 「僕(この方は男性です)は基地内の居住区で掃除夫をしてるんだけど、風呂で裸の女性を見かけても、彼女らは全然恥ずかしがらない。へぇ西洋の女性は羞恥心がないんだな、って思っていると、先日、西洋人の男性がやってきたら、すごく恥ずかしがって大騒ぎしたんだ。そこでやっと真相が分かったよ。彼女らは僕達日本人をサルくらいにしか思っていなかったんだ…」


★★ 列強侵略の本質 ★★

列強侵略の本質は旧約聖書にある、と述べた。
 だがそれだけでは説明不足だろう。
 なぜそのような旧約聖書を受け入れるようになったのか?、も考えてみよう。
 (このあたりは、よく語られる話なので、ご存知の方は読み流して下さい)

まず地理的環境です。
 ヨーロッパは思いのほか緯度が高く、なんと憧れの太陽の町ナポリで、青森と同緯度だ。
 ベルリンやロンドンなどは、北海道の北端よりも更に北の、樺太サハリンのレベルである。
 西欧主要都市と、日本との緯度の比較表を示します:

しかも日本に較べ乾燥しており、雨が少ない。
 土壌や水質も農耕にはあまり適さず、つまり牧畜・狩猟が主流となる。
 筆者の高校時代、世界史の先生(通称ポンチュー)曰く:
  「世界史とは、狩猟民族の、農耕民族への、侵略の歴史である」
と教えて頂いたが、成る程と思いたくなる。
 中国も、北方からの狩猟民族の侵入を恐れて、万里の長城を築いたくらいだ。
 またマウスなどの多くの実験でも、
  「肉食のマウス群は、菜食のマウス群に較べて、攻撃的で争いが多い
ことが立証されている。
 そんな肉食の害を消すため、西洋人はコショウを求めた。
 それがコショウの産地、インドへの侵略にも繋がったのだ。

また狩猟とは、目的の動物を騙してワナに嵌める。
 正々堂々?と弓矢で射止める場合でも、身を隠しながら風下から襲う。
 陰謀術策はお手のもので習い習性、というわけだ。

西洋史の大家である会田雄次氏は、著書の『日本の風土と文化』(角川書店)で:
 「略奪が一番簡単で、一番豊かな生活を約束することで、ヨーロッパ以上のところはなかったのだ。
 日本では泥棒、強盗はバカがやる一番損な仕事となっている。
 略奪はヨーロッパでは、優秀な人間がやる企てであると考え、日本とは全く逆の価値判断である。
 イギリスの王家は先祖が海賊であったことを“誇らしげ”に宣伝しているほどだ。」

略奪を誇らしくさえ思うこの発想を、理解できる英単語がある。
 英語では重要な人、偉い人のことをVIP(Very Important Person)と呼ぶでしょう。
 この「重要な」という単語を分解すると、im(中に)・port(港)・ant(接尾語)ですね。
 つまり港の中に物資を陸揚げすることが、重要なことだという意味だ。
 気候風土的に、国内には物資が乏しい。
 ならば海賊行為か侵略した植民地から、物資をゲットするしかない。
 そういう意味で重要なことをする人を、VIPというわけなのだ。

また世界侵略の心理的背景として、黒死病の大流行がある。
 幸福な生活をしていたら、侵略の必要などない、という意味である。
 西欧の多くの街々では、糞尿を家の窓から路上に廃棄していた。
 その糞尿がスカートの裾に付かないために、淑女はハイヒールを履いたわけだ。
 そんな不衛生さでは疫病も仕方ないのだが、人口の大半を失ったトラウマは大きい。

そして魔女狩り。これも大きなトラウマだ。
 ここで密告が奨励され、拷問や処刑も、「神の名において」行なわれた。
 魔女の手先とされた猫を大量虐殺したため、ネズミが増えて黒死病に繋がったという。
 とにかく訳の分からん、この暗黒のヨーロッパ中世が、世界侵略の背景になった。


★★ 直接の動機は日本? ★★

西欧人の侵略史の出発は、コロンブスのアメリカ大陸発見(1492)である。
 これは「コロンブスの卵」の寓話とともに、偉大な発見であったと、日本人は教えられた。
 しかしよく考えれば発見ではなく、西欧人が単にアメリカに到達した、と教えるべきだ。

それはともかくコロンブスは少年時代、マルコポーロの東方見聞録を何度も聞かされた。
 彼は黄金の国ジパングに憧れ、金や絹、コショウを持ち帰って、大金持ちになろうと夢見た。
  参照: ジパング伝説 … コロンブスを誘った黄金の島 (中公新書) 宮崎 正勝(著)
 しかしヨーロッパから東方は、かつて痛い目にあった強大なイスラムや中国(元の時代)がある。
 しかも当時でもイスラム商人の既得権益は、動かしがたいものがあった。
 そこで彼は、反対の西ルートで、航路によりジパングに到達しようと考えた。
 しかし思ったより南に着いたため、インドと勘違いして、原住民をインディアンと呼んだわけだ。


★★ おわりに ★★

欧米と日本との大戦争の結果、欧米人は侵略した多くの植民地を失った。
 侵略の直接の動機が日本であったのに、その日本によって得てきた多くを失ったわけだ。
 なんとも皮肉なものだ。
 …と言いたいが、新たな植民地形態を彼らは考え出し、現在日本は実質彼らの植民地状態だ。
 つまりマネーを(沈黙の)兵器として使用する、「金融植民地」という形態である。
 これが、本メルマガの最大のテーマである。



【Repeat Messages】
●日本が800兆円の負債? ちょっと待った! 日本は世界一の債権国だぞ! 外国からの負債はない!
  では日本の負債の債権者は誰だ? それは日銀とその子分の金融機関だった! ★参照: ep1
●日銀は株式会社であり国の機関ではない。(その証拠にURLは私的機関を示す「or.jp」だ)
  日銀を国有化して、政府と国会が信用創造せよ! ★参照: ep2
●バブルとその崩壊は、日本を構造改革するため意図的に創られたのだ! ★参照: ep6, ep7
●聖書における天地創造の神はエホバ(ヤハウエ)ではない。天地は神々(エロヒム)により創られた、とある。
  アダムとイヴだけが最初の人類ではない。他の神々が創った人が存在した? ★参照: ep13

「月刊・沈黙の兵器」
★まぐまぐ!サイト: http://www.mag2.com/m/0000150947.html
★発行者のサイト: http://www.geocities.jp/akion200104/
★執筆者のサイト: http://www.geocities.jp/untilled/ (←バックナンバーが見やすいよ)

■次号の予定: 真説・歴史観(7): 明治維新とその後
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