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前号のイントロで、原則 “耕さない・肥料をやらない・除草しない” という筆者の畑の「雑草の制御」について述べましたが、具体的なイメージをお伝えできなかったと思いますので、今回は写真付きでお届けします:
もちろん全てが、うまく思い通りに行っているわけではありません。
雑草に負けて、“おさらば”するものは半分以上かも……。
でも「仲良しさん」の雑草とうまくマッチできれば、「共生」できるようです…。
イントロが長くなりました。
■■■銀行の特殊性に気付け!(2) ■■■
★★ 「信用創造」 と「キャッチボール・モデル」
★★
西洋では、「紙幣」は金細工師によるゴールドの預り証から発展した、と先月号で述べました。
あるとき、顧客が金細工師からゴールドの現物を引き出しても、ゴールドは廻り回って結局、別の金細工師たちにゴールドを預けるのであれば、全体としてどうなったでしょう?
(ゴールドのようなハードウェアが「廻り回って」返る現象を、「物理的キャッチボール」と呼ぶことにします)
金細工師たちが全体で保有する「ゴールドの在庫総量」は、減少しませんでしたね。
そこで顧客から預かったゴールドを、資金を必要とする人に貸し出しました。その結果、
預り証の総額 > ゴールドの在庫総量
といった“詐欺状態”が生じたわけです。やがてその詐欺はさらにエスカレートして、預り証そのものを貸し出すようになったのでしたね。
これは別の観点からみると、顧客が金細工師たちを「信用」した結果、社会全体では「新たな購買力が創造」されたわけで、
信用創造量 = 預り証の総額 − ゴールドの在庫総量
と考えることができます。「無」から通貨が創造されたのです。
しかし“詐欺状態”が大きくなりすぎると、実際のゴールド保有量との関係の“秘密”がバレそうになりました。そこで「ニクソンショック」により、金本位制を廃止したのでしたね。これにより、おカネは単なる「紙切れ」になりました。
さらにコンピュータが発達すると、現代では、おカネは単なる「数字」となったわけです。数字は、抽象的な存在であり、しかも瞬時に送金することができます。(これを「抽象的(情報化された)キャッチボール」と呼ぶことにします)
ではこのことで、どのような変化が起きたか?、次のモデルによって考えて見ましょう:
★モデル1)
解りやすさのため、この世に、A銀行とB銀行の2行だけがあるとしよう。
またそれら銀行の預金量は、それぞれ10億円あるとする。ここで、
・A銀行がX氏に1億円を融資して、X氏は売手のY氏に支払った。
Y氏はB銀行にそれを預けた。(銀行振込なら直接AからBに)
→ ここでA銀行の預金量は9億円、B銀行は11億円となる。
(実はここに問題があるのだが、後述)
・一方、B銀行はN氏に1億円を融資、N氏は売手M氏に支払った。
M氏はA銀行にそれを預けた。(銀行振込なら直接BからAに)
→ これでA銀行とB銀行の預金量は、各々10億円に回復!
(実はここに問題があるのだが、後述)
では、X氏とN氏へ融資した計2億円は、どこから来たのか ?!
彼らは融資された2億円に対して、利息を払う義務があるのに…?。
★モデル2)
さらに発展して、A銀行とB銀行の2行だけがあって、預金量は、
それぞれ10億円ある、とするまでは同じ。ここで、
・A銀行がX氏に100億円を融資して、X氏は売手のY氏に支払った。
Y氏はB銀行にそれを預けた。(銀行振込なら直接AからBに)
→ A銀行の預金量はマイナス90億円、B銀行は110億円となる。
(実はここに問題があるのだが、後述)
・一方B銀行はN氏に100億円を融資、N氏は売手M氏に支払った。
M氏はA銀行にそれを預けた。(銀行振込なら直接BからAに)
→ これでA銀行とB銀行の預金量は、各々10億円に回復!
(実はここに問題があるのだが、後述)
では、X氏とN氏へ融資した計200億円は、どこから来たのか ?!
彼らは融資された200億円に対して、利息を払う義務があるのに…?。
さらなる疑問は、モデル1)なら預金量の範囲だからまだ理解できるが、モデル2)の場合、預金量の10倍もの融資したって?…、どうしてそんなことが可能なのか?…。でも確かに、B銀行とキャッチボールしたことによって、少なくともこのケースでは帳尻りはあっているように見えるが?…。このケースが特殊なのか?
特殊かどうかは別にして、確かに、預金量は減少せずに融資が可能な、上記モデルのようなケースは考えられるではないか…?。これはどうもあの金細工師たちの、ゴールドの在庫総量が減少しなかったモデルに似ているようだ…。物理的キャッチボールから抽象的キャッチボールへと発展した点があるにしても……。
では銀行は、預金が無くても貸し出せるのか ?!
答えは、99%が「YES」で、1%が「NO」、である。
というのも、わが国では実際には約1%の準備預金を中央銀行(つまり日銀)にしなければならないという決まりがあるから、まったく元手無しで融資することはできないからだ。
でもこれは逆にいえば、融資により、元手の約99倍の信用創造ができる!、ということだ。
では銀行のバランスシートはどうなったのか?
資産(貸出等)
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負債(預金)
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110億円
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110億円
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実はもともと預金量が10億円であったA銀行が、X氏に100億円の貸出をすると、バランスシート(=決算書)は上の表のように、一気に大きくなる!、のである。え?え?、キツネにつままれた気になるではないか!
もう少し順をおって説明をすると、X氏は100億円の融資を受け、X氏の預金口座に100億円が記載される(この時点では上の表は納得ですよね)。それをY氏の取引銀行であるB銀行に送金した。ところが一方、ほぼ同時進行で、N氏・M氏ルートで100億円が返ってきた……。お分かり頂けるだろうか?。ここがキャッチボールたる所以である。
そんなにタイミング良く100億円が返ってくるなんて稀れなんじゃないの?、もし返ってこなかったらどうしたらいいの?……、なんて心配されるかもしれません。確かにその心配はわかる。でも考えてみてください。100億円といっても、X氏のために現金の札束を用意する必要もなく、ましてやゴールドの現物も必要なく、単なる数字のやりとりにすぎないのですぞ。数字を貸し出しただけ!、なのである。
では、B銀行へ送金した100億円はどうしたらいいの?。ほんとにほんとに、B銀行からキャッチボールによる資金が返ってこなかったらどうしたらいいの?。まぁいくら心配性の方でも、B銀行からくるキャッチボールが、全体としてまったくのゼロとは思っていないでしょうが、たとえ最悪ゼロとしても、X氏は今後、毎月返済をしてくれるのですよ。しかも利息付きでね。
一方、最悪の場合におけるB銀行への送金債務を履行するためには、銀行間での融資(=コール市場、これも抽象的キャッチボールの一形態と見做すことが可能だが…)や日銀からの融資(日銀は直接に信用創造することが可能だが…)を活用すれば良い。そこから調達できる資金への利息(日銀融資の場合は公定歩合)は、X氏から頂戴する利息よりもはるかに低金利であるため、いくらでも帳尻りをあわせることができるので、ご安心下さいね?。
もっともX氏が経営破綻したりして返済不能となれば、それは不良債権となって困った問題が発生するので要注意である。ご融資は慎重にお願いしますね…。(ただしもともと無に近い状態から創造されたおカネですから、こうした不良債権も
うまく御破算にする方法があると筆者は考えているのですが、話がさらに複雑化するので、ここでは割愛します)
以上、銀行は(普通の銀行であっても)、マクロ経済からみれば、融資を通じて信用創造が可能であることを考察した。
にもかかわらず、銀行は、預金者から預かったおカネを融資して利ザヤを稼ぐという、単なる「金融仲介屋」ではない!、という特殊性に、あまりに多くの人(プロの銀行家や有名エコノミストでさえ)が気付いていないという現状は、とても残念なことであり、また危険なことでもある。
より詳細を考えてみられたい方は、推薦図書:
「謎解き! 平成大不況」 (PHP研究所) → Amazon当該書籍にリンク
ここで後日の別テーマの準備のため、上記書籍から次の箇所を引用して、株式市場との比較をしておきたい。
(引用開始)
『
銀行を「金融仲介機能」と捉える新古典派のエコノミストのなかには、お金を集めたい企業からすれば、銀行融資も株式や社債の市場も同じである。だから証券市場は銀行融資に取って代わることが可能だ、という見方をしている人が少なくありません。
…………
しかし経済全体の観点から見ると、銀行融資と、株式や債券を買ってもらってお金を集めるのとでは、決定的な違いが存在します。
銀行から融資を受けた場合、先にも述べたように、経済全体の「おカネの量」は増えます。したがって、経済全体の取引金額も増え、経済の拡大に寄与します。これに対して、証券市場で資金を調達した場合には、……投資家名義の口座から企業の口座へと、通帳上でお金が移るだけでしかないのです。(これをゼロサムゲームという)
』
(引用終了)
★★ 「無税国家モデル」 ★★
この「無税国家モデル」の基本コンセプトは、当メルマガの第2号と第3号の内容とリンクしていますので、バックナンバーをぜひ読み返して頂ければ幸いである。
第2号(日銀ではなく、国会が通貨を発行すれば、国債発行が不要):
http://www.geocities.jp/akion200104/melma/backno-00002.htm
第3号(中央銀行と通貨は、「詐欺」をその起源としている):
http://www.geocities.jp/akion200104/melma/backno-00003.htm
以上をご理解いただけておれば、
日銀ではなく、国会が通貨を発行して、一般国民は原則無税
という、通常では非常識なアイデアも、むしろ当然と受け止めてもらえることを期待します。
無税国家モデルのコンセプトを次図に示します。
/E