★月刊・沈黙の兵器 第00026号 '07/03/31 ★

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前号のメルマガの最後の 【お知らせ】で、次のように書いた:
 『今来た夕刊の見出しに、「株全面安 一時737円下げ … 世界同時安の様相」、とあった。4月から新会社法が施行され、外資の日本企業買収(=経済植民地化の進行)が活発になる。そこでより安く買収するために、株を下げるような仕掛けをしてくるだろう…』
 しかし現在、株価はもち直しているようだ。単なる危惧に終わったか?、と思っていたら、次のような情報が入ってきた。
 「ロシアの情報筋が入手した米軍情報では、イランに対する米軍の攻撃は4月6日に行われ、イラン国内の20ヶ所の核施設と、ペルシャ湾の海軍艦艇、指揮系統および通信システムを粉砕する。」…?
 もし本当なら(この種のリーク情報は大抵当たらないけど…)、この攻撃によって再び石油は高騰します。そして石油に依存する日本経済を直撃しますので、日本円も株価も暴落をすることになります。そこで日本企業を外資が買い漁る・・・。どうせ戦争を起こすなら、都合の良いときに起こそう、ってなものでしょうが、これってインサイダー取引にならないのかなぁ…。

同じく前号のメルマガの最後に、映画『不都合な真実』を是非見てください! と書きましたが、見て頂けたでしょうか?
 今回はこれをテーマにしたいと思います。
 そして実は、本メルマガの「全体的」な目的も、この映画と同じものなのです。
 ただし地球温暖化を阻止しよう、持続可能な文明を建設しよう、といった目的は同じですが、映画では単に炭素ガス排出を削減しよう、といった対症療法的な内容に止まっています。本メルマガはそれを更に掘り下げ、「現代文明とは何か?」、といった本質的な問いかけから、今まで経済・自然農法・聖書・共産主義などを取り上げてきたのです。


■■■ 不都合な真実 ■■■

“温暖化でこうなる”という記事が、女性セブンという雑誌3月15日号に載った。温暖化で南極の氷が溶けるなどして、海面が上昇する。そして海面がたった1メートル上昇しただけで、大阪でいえばJR環状線の西半分が水没する、というのだ。
 地球温暖化を描いたドキュメンタリー映画“不都合な真実”に出てくる最悪のケースでは、海面が12メートルも上昇する、というのだから、”被害”はこれくらいでは済まないことになる。
 この映画に触発され、この女性セブン以外でも、テレビなどで似たような内容の”報道”が最近なされるようになった。
 一方、早速こうした意見に反論するホームページやテレビ番組が現れてきている。曰く、例えば北極の氷が溶けたとしても、海上に浮いている氷が溶けただけだから海面は上昇しないとか、ああ言えばこう言う、こう言えばああ言うの世界である。
 また仮に海面が上昇するにしても、百年以上も先のことだとか、なかには一万年も先のことだというチョー楽観的な人もいる。またこうした温暖化は、太陽の黒点が最近異常に増加しており、そうした太陽系規模の変化が原因だから、人間がいくら炭酸ガス排出を抑制したとしても、ほとんど意味がない、というものもいる。
 一方、悲観的な意見としては、5年くらいで大変な状態になるというものだ。その背景にあるのは、マヤ暦”が2007年12月22日で終わっており、またその頃に太陽系全体が“フォトンベルト”といわれる巨大な光の帯に突入する時期と一致しているのは偶然ではない、というのだ。
 まあ、この意見はあまり科学的とはいえませんが、では客観的なデータでは、実際はどうなるのだろうか?


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★★ 海面上昇で沿岸都市は壊滅状態?

まず、雑誌女性セブン3月15日号の記事を見てみよう:

 (記事引用)
 今回の米・アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を獲得し、話題を呼んでいる映画「不都合な真実」。その中で紹介されているシミュレーションはまさに現実のものとなろうとしている。
 国連の「気候変動に関する政府間パネル」は先月、「今世紀末に地球の平均気温が最大6.4度上昇する」など地球温暖化の現状と未来を公表した。
 全国地球温暖化防止活動推進センターの小山厚子氏はその内容について驚きを隠さない。
 「これまで温暖化が深刻になるのは100年以上先の遠い話のように思われていましたが、実は想像異常のスピードで温暖化が進んでいることがこれで明らかになり、恐怖感を覚えました」
 (中略)
 迫りつつある危機。私たちにはどれほどの時間が残されているのだろうか。東京大学・生産技術研究所・山本良一教授がいう。
 「ある科学者は“危険な気候変動を回避するための時間はもうあと5年しか残されていない”といっています。私の感覚でもいまが地獄の1丁目です。温暖化で気温が2度を超えると人間への直接被害が出るとされています」

 (引用終了)


温暖化による海面上昇たった1mで、東京・大阪の広範囲(斜線)が水没

では、このような海面上昇でどのような不都合が生じるか?
 海に浸かっても、建物の2階からボートで生活したらいいじゃん、なんてノー天気な人もいるが、いずれ水が引いていく従来の洪水とカン違いしているのだろう。人間の時間軸からしたらほぼ永久に海面が上昇するのだから、次のような深刻な事態になる可能性がある:
 ★世界規模で数億人規模のの難民が発生
 ★大型船舶が寄航する港が使用困難となり、世界的な物流に問題が生じて。特に日本では、
  ・食糧自給率40%のため食糧難となる
  ・石油流通に問題が生じてエネルギー危機となる
 ★漁業に大きな影響を与える
 ★海底により大きな質量が負荷されるから、海底火山が活発になる
 などなど、考えたくもない世界が浮かび上がるが、これはあくまで可能性である。しかし、
  ●● 最悪の事態を想定するのが最良の危機管理 ●●
 ではないだろうか?


★★ 異常気温上昇から、極点氷の積木崩し現象、そして海流停止

太古の温度変化や大気中の炭酸ガス濃度を調べる氷柱コア測定法という方法がある。世界中の氷河の頂上で氷の穴を開け、長い円筒を深く差し入れて氷の円柱を取り出す。すると何十万年前からの地球の大気の変化を知ることができるのだ。
 その氷柱コア測定法によると、過去60万年間の地球で、寒冷期や温暖期はあったものの、ここ数十年の上昇は著しい。
 特に、2003年からの気温・炭酸ガス濃度の異常な上昇加速度は、60万年間全く例が無く急激だ。

そのせいか、南極、北極、そしてグリーンランドの氷の解け方は、大多数の科学者の予想をはるかに超えて激しさを増している。
 科学者というものは因果なもので、知り得たデータからのみ判断する。だが知り得るデータは限られているし、科学理論もまだまだ未完成と言わざるを得ない。だから「想定外」の事態が起こってくる。科学者が本当に信頼できるのなら、大地震や巨大台風を予報できることになる。
 実際例えば南極大陸の氷の解け方も、徐々にジワジワ解けていくのではなく、大規模な亀裂が突然入って想像を絶する量が一気に崩落する現象が最近の特徴だ。
 自然界と言うものは、リニア(直線的)に変化しているように見えて、ある臨界点で突然ジャンプ(非線形)して変化する(弁証法でいうところの量質転化)。例えば液体の水が零度で突然固体の氷になったり、百度で突然気体の水蒸気になったりする。
 南極の氷の解け方も、臨界点が存在してそれに近づいているのかもしれない。これを「積木崩し現象」という。

北極の氷もその溶け方が急速に進んでいる。
 何故なら、それまで氷表面が鏡面のようになって太陽エネルギーの90%を反射していた。ところが氷があちこちで溶け出すと、海水は逆に太陽エネルギーの90%を吸収する。その結果、海水の温度が上り、加速度的に氷が溶ける。これも積木崩し現象を起こす可能性は高い。
 北極の氷は海に浮いているのだから溶けても海面上昇に寄与しないという意見があるが、海流に大きな影響を与える。
 実は南極と北極の氷は世界中の海流の心臓ポンプのような役割があって、海水が冷却されて下に潜り込み深層海流を形成する。表層ではそこに暖流が引き寄せられて北上するのだ。これにより地球的規模で海水をちょうど血液のように循環させている。北欧が高緯度のわりには比較的住みやすく漁業も盛んなのは、北上する暖流のおかげなのだ。


南極・北極の氷は世界中の海流の心臓ポンプ

南極・北極の氷が溶けたら、極地ツアーに手軽に行けていいじゃん、なんて呑気なことを言っている場合ではない。
 海流が停止したら、漁業への大打撃はもちろんのこと、暖流が北上しないので逆に寒冷化地域が発生する。


★★ 各地の氷河等の消滅で、砂漠化が進行!

 世界各地の氷河が消滅の危機にある。
 とにかくご納得頂くためには、ビジュアルに写真をご覧ください:


キリマンジェロ山の氷河: 撮影時期は左から,1970年 → 2000年 → 2006年



南米・ウプサラ氷河: 撮影時期は左から、1928年 → 2004年



アメリカ・グレイシャー氷河国立公園: 1932年 → 1988年


世界中の多くの河川は、氷河を水源としている。
 つまり氷河が無くなれば多くの河川が干上がる。砂漠化が進行して農業に大打撃を与える。

また、内陸の海や湖の消失傾向も異常である。(下の写真参照)
 かつては豊かな水をたたえていたアフリカのチャド湖では、わずか 40年の間に、殆ど干上がってしまった。(写真左)
 カザフスタンとウズベキスタンにまたがるアラル海では、海水が干上がり、漁船がそのまま放棄されている。(写真右)


1973年→   1987年→    1997年↓

2001年

チャド湖の衛星写真

 
アラル海の海水が干上がり、放棄された船舶

砂漠化の問題は各国に存在するが、中国もそのひとつだ。植林もしているようだが、効果はいまひとつ…。
 ここ数年、中国の黄砂(砂漠化が原因)の増加は異常な増え方である。
 その季節になると、まともに呼吸も出来ないらしい。
 日本にまでも黄砂が到達して、九州方面などで観察されるようだ。


★★ 肉食の蔓延で自然破壊が劇的に進行!

通常の、この種の環境問題を取り扱う議論で、何故かほぼ100%話題に上らないのが肉食の問題だ。
 たまにこの問題を取り上げても、ハッキリとはポイントを示さずにボカすのが常だ。
 ここでは、『2006年夏頃放送のNHKスペシャル「アマゾンの攻防」』で、その一部を見てみよう:

 (放送内容の引用開始)
ブラジルのアマゾン流域、フェリスナタールという町を中心に、国道163号線に沿って熱帯雨林の破壊が進んでいる。
 2004年には東京都の12倍の面積のアマゾン熱帯雨林が消失した。
 この原因の約8割は、1995年までは大豆の輸出国だった中国が、(たった10年後の)2005年には、世界の大豆貿易の4割の2580万トンを買い占めるようになったことだ。日本の輸入量441万トンの6倍で世界一だ。
 中国の大豆輸入増加の主たる理由は、食牛生産のための牛のエサに使うからだ。つまりここ10年間で、中国人の牛食の量が極端に増加したからである。しかも、
1キロの牛肉を生産するのに、その11倍の11キロの大豆が必要だからだ。(日本でも牛食は増えているが、日本の大豆輸入量が横這いの理由は、牛肉を諸外国から輸入しているためだ)
 アマゾンの開発は止まりません。毎年乾季になるとアマゾンの南部では森を焼き払う白い煙が立ち昇ります。
6500万年にわたり手付かずのままだった森はやがて大豆畑に生まれ変わります。
 (引用終了)


大豆輸出国だった中国が96年より輸入に転じ世界一に(左) / 中国大豆輸入の大半はアマゾン熱帯雨林を焼き払い生産(右)

なななんと、中国人が牛肉を食いだしたがために、アマゾンがどんどん破壊されているというのだ!
 だが日本人に、それを批判する資格は無い…。現在、日本人1人が生涯で食べる牛の数は1人当たり平均約6頭。これは筆者のようなベジタリアンや赤ちゃんまでも含んだ平均であるが、現存する日本人はその人口1億2千万倍の約7億頭もの牛を殺しているのである。また日本人が大好きなエビは殆んどが養殖で、南米や東南アジアの自然を破壊しているのだ…。


★★ 終わりに ★★

映画「不都合な真実」の重要部分に加え、雑誌女性セブンやNHKスペシャルの報道を加味して,、筆者なりにまとめた。
 今回は写真を多用して、ビジュアルなものを心掛けた。読者の感性へ訴えられることを期待したからである。
 よほど楽観的な方でない限り、地球環境が「ヒョッとしたら、けっこーヤバイかも?…」と思ってもらえれば幸いである。

ではこの事態をどうしたらいいのか?
 これは当然ながら最重要なテーマとなる。
 しかしながら映画「不都合な真実」においても、また環境団体や公的私的組織の色んな議論においても、筆者を満足させるようなものは非常に残念ではあるが、かつて無かった…。

この問題は、本メルマガが今まで取り組んできたテーマ、つまり経済金融問題や、自然農法、聖書、そして赤い楯グループと共産主義の問題などと大きく関連してくるのだ。これら無しには、この問題への本質的考察はあり得ないと思う。


【Repeat Messages】
●日本が800兆円の負債? ちょっと待った! 日本は世界一の債権国だぞ! 外国からの負債はない!
  では日本の負債の債権者は誰だ? それは日銀とその子分の金融機関だった! ★参照: ep1
●日銀は株式会社であり国の機関ではない。(その証拠にURLは私的機関を示す「or.jp」だ)
  日銀を国有化して、政府と国会が信用創造せよ! ★参照: ep2
●バブルとその崩壊は、日本を構造改革するため意図的に創られたのだ! ★参照: ep6, ep7
●聖書における天地創造の神はエホバ(ヤハウエ)ではない。天地は神々(エロヒム)により創られた、とある。
  アダムとイヴだけが最初の人類ではない。他の神々が創った人が存在した? ★参照: ep13

「月刊・沈黙の兵器」
★まぐまぐ!サイト: http://www.mag2.com/m/0000150947.html
★発行者のサイト: http://www.geocities.jp/akion200104/
★執筆者のサイト: http://www.geocities.jp/untilled/ (←バックナンバーが見やすいよ)

■次号の予定: 現代文明終焉の本質
■筆者へのご意見ご感想は:  untilled@yahoo.co.jp (メールチェックは週に1度くらいしかしませんが宜しく…)

/E